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『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』音楽スタッフトークイベント第2弾の実施レポートが到着!

2021年07月19日更新情報
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の公開を記念して毎週行われているスタッフトーク。7月16日(金)は前回も好評だった音楽スタッフのトークイベントを再び実施いたしました。本イベントには音響演出の笠松広司、音楽の澤野弘之、そして司会を務める本作のプロデューサー小形尚弘が登壇。3人が本作の『音』をテーマに語り合いました!

以下レポート

6月11日(金)に公開した『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は現在、興行収入18億円を超え大ヒット中。そして7月16日(金)に行われたイベントは本作の音楽スタッフトークイベント第2弾を実施。前回同様、音響演出の笠松広司、音楽の澤野弘之、小形尚弘プロデューサーが登壇し、制作の裏側や音のこだわりについて語った。

小形プロデューサーより紹介され、笠松と澤野が登壇。前回の第一弾に続き、観客は待ってましたと言わんばかりの拍手で出迎えた。

小形が来場者に前回の音楽スタッフトークイベントにも来ていたかアンケートを取ったところ、およそ半数の人達が手を挙げ、前回のトークが盛況だったことが伺える。」このメンバーでのトーク会は2回目となり、前回では聞くことができなかった貴重な裏話を存分に語ってもらった。

さっそく、小形が「村瀬修功監督から打ち合わせの際に絵コンテやラッシュを渡してもらい作成に取り掛かると思いますが、音響を作る準備はどんな風に行いますか?」と質問をし、笠松「『閃光のハサウェイ』の場合、一番の命題がモビルスーツ、ビーム・ライフルだと思うので、最初に立ちはだかった壁ですね。ベースのたたき台となるパレットをおよそ1年弱、延々と作っていました。順番は、104(ペーネロペー)、105(Ξガンダム)の順で、0スタートにならないように時間をかけて作りました。1番時間がかかりましたね。」と制作当初の心情を明かした。

 小形「当初、村瀬監督との打ち合わせの際に、笠松さんが『村瀬監督のコンテに潜る』とおっしゃていましたが、どうでしたか?」と。それに対し笠松「コンテは、監督の“思いの塊”だと感じていて…走り書きも含めて、とても重要なヒントがあると思うので、まずは追ってみようかなと…」小形「冨野由悠季監督も、だいたいコンテに書いてあるので、ちゃんと見ないと怒られますね(笑)。それくらい大事だと思います。」と意外な冨野監督のエピソードと共にコンテの大切さを語った。

澤野は色がついていない状態や、シナリオだけの発注もあると思うが、何をベースに作っていますか? という質問に対し、「音楽メニューと監督からの話や、作品資料の内容をベースに作っています。ガッツリ画にあててくれと言われるよりやりやすいです。映像の影響力に流されないようにしたい。サントラで聞いたときに寂しい思いをしましたね」と心情を明かした。

一方で、笠松「僕はどちらかというと、画がないとショックです。絵が入らないとやらない人間なので、『機動戦士ガンダムNT』のときはショックでした(笑)驚きましたが、黙ってやってみようと思って…今回はコンディションのいい絵でよかったです」と『NT』の裏側の話も垣間見えた。

小形「今までのガンダムの中で一番いい状態でダビングできてよかったですね。色がついていない中で、笠松さんにバランスをとってもらって…

村瀬さんはわざと間を取っている部分を、笠松さんの演出でハサウェイの心情の重さを表現しているので、笠松さんがキャラクターの見えてない部分まで音を拾ってくれたのでよかった」続けて、笠松は「平場のシーンはだいぶ細かい音をつけました。一般的にフォーリーという、絵を見ながら人が歩いたり飲んだり食べたり、イヤリングの音など、画に合わせて音をはめることをしていましたが、『閃光のハサウェイ』に関しては細かく演出できたと思います。『閃光のハサウェイ』が特別かというとそうではないけども、その中でも細かくできたと思ってます。」と、笠松と村瀬監督との細かい演出の掛け合わせが相乗効果を生んだと思われ、小形は「これからは色を付けてダビングします」と、これからのガンダム制作に対する決意表明をした。

音楽ラインについて、他の作品と比べて感想を聞かれた澤野は「メニューに関してそんなには違いはなかったけど、見出しには驚きました。爆撃とエロスとか、エロスの部分がわからなくて飛ばしました(笑)試行錯誤して、感情寄りにししたりもしました。」とハサウェイならではの苦労を語った。

また、澤野の楽曲タイトルに関して、「『機動戦士ガンダムUC』では「GUNDAM」を逆で名付けたのですが、今回はサンライズやっとくかと(笑)。何曲もあってレパートリーに困るので会社名に頼りました(笑)。記号もノリでつけることもあります。」と貴重なネーミング話も聞けた。

それに対し小形は「僕はエロスになっていると思います」と絶賛し、澤野「映像とあって感情が入り交ざっているので、より音楽の影響力を感じてもらえるのかなと」魅力をアピール。

そして、普段の作業について、笠松は「ふとしたときにいい雷の音と思うことはあります。田舎にいる時は都内と違う音なので、まわしておけばよかったと思いました。」と答え、澤野は「サンプリングをとることはないけど、ソフトに入っている音は使います。このあいだ、叫んでいる音を加工して使っていたら、家で悲鳴している奴がいると思われているときはあります(笑)」と意外な仕事内容が明かされた。ハサウェイの楽曲では「歌声は他の楽器とは違う音色もっているので、使います。『進撃の巨人』とかもそうですね…」と楽曲制作の共通点が語られた。

Spotifyでの反響を受け、澤野「MöbiusとTRACERは、おかげ様でMVができたので海外の方から反応あり非常に嬉しかったです。次は、ベンジャミンを観られるといいなと思います。」

と、貴重な話が続くなか、時間が来てしまい最後の挨拶になると、小形「入場者プレゼントをバンバンつくるので是非劇場に来てください。来週21日のトークイベントも是非、来てください。毎週やりますので、またこのお二人の会もできることを楽しみに、これからもよろしくお願いいたします。」と、締めくくった。

以上